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結婚へのチャンス
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結婚の相性
従来の相性
相性というのは、もともと易学のことばで、どんな男性と女性が結婚したらうまくやっていけるかを占うものだったのです。外国でも日本でも暦が使われて、何年の何月何日生れの人は、いつ生まれた人と結婚すると巡り合せがよい、といったようなものだったのです。「宝暦大雑書目録上」の「六十八」に「男をころす女ありきのえとら、みづのえね、かのえさる。女をころす男あり、ひのえむま、つちのえゐ、みづのととり。かくのごとく生年を見わけ、夫妻の契あるべし」と出ているそうです。このうち「ひのえむま」生れのことは、民間の相性の俗説としてはよく知られていて、このために結婚できない女性や、また役所への報告のとき生年を変えてしまう人もあると聞いています。しかし、すでに文政の昔に、石井光政という学者が「害事論」という本に、人の気質や運命が受胎の日時や生年月日によってきまるはずはなく、これは迷信であると言っていますが、それでも、まだ、九星や干支五行の配置の信仰は、古風な考えの人の間に残っているのです。
相性の科学
結婚のしかたで見合いから恋愛へと変わるにしたがって、こうした古風な考え方は次第に消えつつあるようです。昔、西独でもこうした考えがあったせいか、男女の関係があまりうまくいっていないと、「あの二人は全く違った星のもとに生まれて来たのだ」と言います。しかし、西欧の場合、ほんとうに星占い的な意味からいうのではなく、むしろ象徴的な表現からなので、「運がよくなかった」「出合いが悪かった」というような意味です。私たち科学者は、かつて石井光政なる学者が言ったように、生年月日などが結婚の運命をきめるとは考えていません。しかし違った意味では、相性というものがある程度存在すると確信しています。ハンガリーの精神医学者にゾンデイという人がいます。今はスイスのチューリッヒ湖のほとりに開業しています。ある日、この医者のところに、若い夫妻がたずねてきました。奥さんが精神病にかかり、だれかに毒を飲まされるのではないかという妄想をもっていました。ゾンデイは、くわしく奥さんの病について聞いてから、彼が今から二〇年ほど前、まだハンガリーにいたころ、それと同じような症状をもった女性を見たことを話しました。そうしているうちに、その患者の夫がびっくりして立ち上がって言いました。「その女性は私の母親だったのです」ゾンデイはびっくりしました。病気だったのは彼の奥さんですから、彼女と彼のおかあさんとの間には、何の遺伝関係もありません。ただ彼にとっては、結婚した相手の女性が彼の母親と同じ種類の精神の病にかかってしまったのです。
母親と同じ心性を求める場合
ゾンデイによると、結婚の相手として愛を感じるときに、無意識の間に、彼の母親と同じような心性を求めていたのだと説明しています。彼が結婚したときは、まだ彼の妻は発病していませんでしたが、彼の無意識の鋭い感覚が母親と同じようなものをさがしあてていたのでしょう。この後、この奥さんの病気がなおって、それから幸福に暮らしたかどうかはわかりません。ただ、ここで言いたいことは、恋愛の相手はただ偶然にぶつかり合って好きになるのではないということです。好きになれない人とは、何年つき合っていても、親しくはなれても決して愛は生まれないのです。やはりお互いに愛せるためには、それを求め合うものがどこかに潜んでいなければならないのです。西欧諸国では、臨床心理学者とよばれる専門家が、結婚の適性についての相談にのっています。
母親と反対の心性を求める場合
ゾンディの例が、たまたま男性が母親と同じものを恋愛の相手に求めたからといって、すべてがこれと同じというわけにはいきません。ときには、母親と全く反対のものを求めることもあります。
これは母親が子どもをかわいがりすぎ、甘やかしすぎるときにしばしば起こる現象で、精神分析学で「母親コンプレックス」とよんでいるものです。大人になっても母親の愛情から独立できず、これからのがれようとしているのです。そういう場合、彼の母親への愛は依存的でありながら、一方自由を求めて逃避しようとしているのです。彼が愛情の世界で完全に母親から独立するときに、正しい母親への愛情問題が成立するのです。そのための経過として母親と違った心性の相手を求めるのでしょう。
結婚の適性
近代的な科学的な相性のことを、私たちは結婚の「適性」ということばで表現しています。これは暦できめるように簡単にはいきません。だからこそ結婚問題専門の臨床心理学者が必要なのです。アメリカでは、こうした専門家に相談にのってもらうのには、かなりの高い費用がかかります。しかし、一生のことを決定するのですから、はでに結婚式をやるのにくらべれば、ずっと有意義でしょう。このほか、結婚前には、医学の分野で相手を確かめ合うことも必要です。
性格のある面は同じで、ある面は反対がよい
アッペルバッハという学者は、男女が引きつけ合うには、性格のある面は男女が正反対で、ある面では同じほうがいいと言っています。どんな点で、反対のほうがいいかというと、もし男性が能動的で支配的な場合、女性はむしろ受動的なほうがよいのです。反対に、男性が受動的であるなら、女性のほうが能動的で活動家のほうがよいのです。
しかし、知能、趣味、育った環境、感受性などは、男性のと女性のとが一致したほうがよいのです。アッペルバッハはこうしたことに基づいて、男女が引きつけ合う強さを一定の数式で表現して指数を出しています。もし専門家に計算してもらえば、科学的な結婚の適性がわかるといったしくみなのです。この種の科学は、まだ、物理学などのように正確ではありませんが、迷信はもとより、しろうとの勘よりもまだずっと確かなのです。
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