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結婚へのチャンス
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新しい時代の花嫁修業
セッツルメントで社会勉強
野村芙二子さんは、社会問題に強い関心をもっていたので、学生時代にはセッツルメントの部員として活動していました。セッツルメントは、貧しい人々の住宅街などに、学校、託児所、診療所などを設け、住民と接しながら、生活の向上を図る社会運動として始まりました。野村さんは、主として児童部で勉強会の指導をしました。野村さんたちの運動が目ざすところは、おかあさんたちといっしょになって、子どもをのびのびと明るく育てていくこと。だから子どもの成長をはばむものに対しては、いっしょになって反対もし、解決もしていきます。今の日本の子どもたちの周囲には、貧富にかかわらず、いろいろな問題が立ちふさがっているので、なかなか大変です。自分が学生であるうえに、子どもたちの勉強を見てあげるのですから、とても忙しい。準備の勉強も必要だし、運営の方針を検討する会合もしばしば開かれます。自分からすすんで参加したのに、途中でずいぶんやめたくなったそうです。しかし短期大学の二年間、ずっとやり通しました。野村さんは四年前に結婚して、今は二才の坊やのおかあさんです。セッツルメントとは卒業以来縁がきれましたが、今は母親の立場で、あのころのことを思い出すそうです。母親からも世間からも持て余し者扱いされていたAちゃんには、ずいぶん困らされましたが、なつかしい思い出です。いつもいつもグチをこぼしに来ていたあの子のおかあさんのことも・・「あのときには、あんな応対をしていたけれど、今にして思えば、こう言ってあげるべきだった」などと、大人の気持がちっともわかっていなかったそのころのことが、悔まれたりもします。けれども、二年間の勉強は偉大な成果を残したと思っています。第一、同情の目ではなく、核心をはっきりとつかんで、社会を見ることができるようになったこと。そして、当時は思いもおよびませんでしたが、子どもの扱い方に教えられるものが多かったこと。今は外へ出て働く時間の余裕はありませんが、そのうちにもう一度セッツルメントの運動に参加したい。今度は母親の気持と目で、学生時代とは違った働きができるでしょう。中野ツヤさんが、\"主婦も社会とのつながりをもて\"と言いましたが、野村さんも同じ意見です。「自分の家庭、自分の子どもだけを見ていると、世間に遅れるなどというだけでなく、自分の家庭や子どもの長所まで、実は見失なっているのです。外へ出て、人の家庭、人の子どもを見ると、勉強にもなるし、自信ももてるのですね。こんなところに、主婦が社会へ出ていくことの意味があるのだと思っています」
農村の主婦をっくる
農村でしばしば問題になることは、娘の花嫁修業のあり方です。農村の母たちは、自分が農家で苦労をしてきたので、娘にはもっとらくをさせたいと願います。娘を町へ嫁入らせたいと思う気持もその一つの現れです。また、嫁になれば苦労をするのだから、娘のうちは気ままに、農業もさせずにおこう。そんなふうですから、花嫁修業といったら、洋裁であり、生花であり、茶の湯であり、何一つ農業に直接つながるものはありません。ところが、多くの娘さんたちは、けっきょく農家へとつぐのです。農家の主婦としての自覚や喜びはあまりもたずに。近ごろ、心ある農家では、嫁入り道具の代りに、農業の知識をつけてやろう、と県外の養成所や生活学校へ娘を出してやることを考えてもみるようです。
千葉県立農村中堅青年養成所も、そういう学校の一つです。一年を三期に分け、うち一期は女子だけのために開かれます。施葉県立農村中堅青年養成所
農村の主婦をつくる
設の関係上、男女共学はまだ行なわれていません。
創設以来、すでに二〇〇人の女子卒業生が出ている由。しかし、まだまだ女子の進学には妨げがつきまとい、親元を逃げ出すようにして来る娘さんもあるそうです。教科内容は、男子とほとんど同じで、右表のようなものです。和田金次所長に聞くと、養成所の教育の主眼は、生活の考え方をはっきりとつかみ、また農村の経営の方法を学ぶところにあるのだそうです。そうした農村の社会と家庭の人間関係および経営の勉強は、農村社会学や農村経営学の時間に特に学ばれます。全寮制度で、一日の生活は、六時起床、洗面、そうじ、体操七時朝食(献立、配膳、食器洗い)前日の反省、新聞解説、休息八時一〇分午前の教課(五〇分授業)一二時昼食、一時一〇分、午後の教課四時三〇分、自由時間六時、夕食八時自習時間、九時自由時間、一〇時就寝、土曜日は、半旦授業。三ヵ月の学習が終わると、県外の農村視察旅行にも行きます。そして卒業。娘さんたちが、どんな気持をもって家へ帰ってゆくか、また帰った先で、彼女たちがどんなふうに農村へ根をおろしていくか、何人かの娘さんたちに聞いてみました。まず養成所で勉強していると、男女ともに農業に対して意欲がわいてくる。高校時代には、たとえ農業高校に進学しても、農村へ帰らなければならない自分のことを考えると絶望的で、また級友に対しても劣等感をもっていた。ところがここへ来てみると、同級生はみんな農村で働こうという人ばかり。はじめて農業に対して目が開かれ、やろうという気が出てきます。ここを出た娘さんの九九%は農家へとつぎます。しかし、どうかして町へとつぐようなことがあったり、会社勤めをすることになると、「同級生に悪いな。いっしょに農業をやろうと約束したのに」と本気で思うとか。また、養成所を卒業した青年たちに聞いてみると、「農村は徹底的な共かせぎだ。といって、ただ嫁さんに働いてもらうだけでは、いかにもざびしい。物の考え方で共通したものをもっている嫁さんがほしいとみんな言っている。農村の主婦は、考え方が現実的になりがちだが、もっと目を広くしてもらいたい。もっとも、男でも結婚すると本を読む時間が少なくなってしまうのだが。僕は読んだ本の話、農協などで聞いた話を家内にしてやる。ときどき、それからどうした、それはどういう意味、と追及されて困ることもある。僕自身がよくわかっていないので。だけれど聞かれることはうれしいことだと思う」と結婚についても意欲的な意見をもっています。卒業生の金子幸子さんは、来年結婚する予定です。新郎も同じ養成所出身で、恋愛結婚。いま二人の考えているのは、結婚後養鶏に力を入れたいということ。そのため、結婚支度はいいから、一五万円の現金がほしい、と幸子さんはおとうさんに頼んでいる最中です。一〇万円で養鶏を、五万円で水道の施設を、これが幸子さんの計画なのです。農村にも新しい型のお嫁さんが、だんだんに多くなっていくことを感じます。
花むこ学校もある葛飾生活館
最後に、花嫁修業ならぬ、花むこ修業の報告をいたしましょう。所は東京都葛飾区の葛飾生活館。ここでは先に教養大学の婦人部(おかあさん学級)、女子部へお嬢さんたちのために)を開設。今度、男子部も設けたというわけです。期間は三カ月。毎週三日間、午後六~九時です。その趣旨を、「男子部要項」で見ると、
一、和やかな明るい家庭の営みは、人間生活の根源であり、社会構成の重要な一単位です。私達の住む社会を少しでも明るく気持の良いものとするためには、それぞれの人が、日常の家庭生活において、常に工夫をして改善と向上をめざし、不断の努力をつづけなければなりません。
二、しかもこれから新しい家庭をきずこうとする結婚適齢期にある男性で、仕事における手腕やあるいは事業に関する勉強とか研究にはすばらしい実力をもっている人でも、よい夫としてまたは父親として、家庭を円満に運営して行くために必要な知識や教養については、案外関心や熱意のない人が多く、また勉強の機会や場所もきわめて少ないと思います。
三、このため多くの方々の要望に応え、今回とくに若い未婚の男性を対象とし、新しい時代の夫として円満な家庭運営のために必要な科目をえらび、真剣な勉強と研究の講座を開くことになりました。
「特長」は、これから結婚する男性として必要な、家庭生活を中心とした諸問題をとりあげ、直ぐ生活に役立つよう、平易な講義を行ないます。と、あります。
その教科内容は、法律、政治、経済、社会、医学、漸生活、家政、礼法、体育、趣味と多種多様。試みに、家政の時間を見学してみると、夫にもできる栄養料理の時間でした。料理はオムレツ、クラムチャウダー、フレンチサラダ、鮫子となかなか大変です。いつもは食べること専門の男性たちが、指先に力を込めて、鮫子を作る熱心な様子を、どうか写真でごらんください。
医学の知識では出産育児の心得を、法律では、夫婦、親子の関係を、経済では税金と貯蓄の話を、作法では正しいことばの使い方を勉強する男性たち。決して冷やかしてはいけません。花嫁修業があって、花むこ修業がないのは、まじめな話、片手落ちです。ともあれ、夫婦がともに家庭を築いていくとき、妻にだけその知識や関心が要求され、亭主は関白でいればよいはずがありません。花むこ学校が、どれほどの成果をあげたかは、まだ歴史も浅いことだし、一概にはいえませんが、少しでもこの試みがなされることは、喜ばしいというべきです。ある一家では、おかあさんも、にいさんも、妹さんも、そして、にいさんの奥さんも、みんなが教養大学出身だということです。
移民花嫁 全村をあげて集団移民を行なっているところでは、故郷から花嫁を迎えたい希望者が大ぜいおり、集団移民花嫁の話題でにぎわうこともあります。東京都などでは、花嫁志願の女性はたくさんありますが、実際に結ばれるのは、年四、五組くらい。移民花嫁を希望する人は、居住地の都道府県庁内にある海外協会(政府の外郭団体)に申し出て、予備登録票に記入しておきます。海外から申込みがあり、希望条件が一致すれば、見合いの運びになります。私立の結婚あっせん機関もありますが、よほどまじめにとり組まないと、失敗するおそれがありますから、ご注意。東京都練馬区の財団法人日本力行会(男子移民希望者に、三ヵ月間の農事講習を行なっている。受講者の選考は、都庁内海外協会がする)には、講習生と、花嫁を希望する娘さんたちの交際の会南十字会があります。講習が終わったら結婚して夫婦で海外移住したいという青年もいるからです。
結婚の相性相場均(早大心理学教室・医博)
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